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インタビュー ~外国人から見た日本、水戸~ <中華人民共和国>

日本発見記

関 理江 (黄 玲:こう れい) (中国・四川省出身)

四川料理研究家

   

国旗: 赤色は革命を、黄色は光明を表す。また、大きな星は中国共産党を、4つの小さな星はそれぞれ労働者・農民・小資産階級・愛国的資本家の4つの階級を表す。

*来日して何年になりますか。また,来日のきっかけを教えてください。

日本に来たのは1993年です。長女が18歳になりますから,もう20年になりますね。

現在,3人の娘たちは中国に留学しているんですよ。

来日のきっかけは,私が四川省の上海駐在員をしていた時に,友達からの紹介で日本人の主人と知り合い,結婚することになったからです。

当時,主人は仕事で上海に来ていましたが,とてもまじめな人だったので惹かれました。

*ご実家は中国のどちらですか。

私の実家は四川省の「達川(ダーツゥアン)」というところです。水戸市と友好交流都市になっている重慶市から電車で2時間半の場所ですが,昔は5時間もかかったんですよ。四川省はとても広く,省府の成都市に行く時も一泊しないと辿りつかないくらいでした。

*日本人との結婚はご両親から反対されませんでしたか。

その時,私は26歳で当時の中国では結婚適齢期を過ぎていたので,両親からは早く結婚しないと,と心配されていました。ですから,反対されるというよりはむしろ喜んでくれました(笑)。最近は結婚年齢が随分遅くなっていますから,今思えば26歳は若いですよね。

*国際結婚で文化の違いなどを感じたエピソードがありましたら,お聞かせください。

私たちは,中国と日本の両方で結婚式を挙げたのですが,両国の結婚式のスタイルが全く異なりました。中国の結婚式は,披露宴が宴会のような形式で,新郎新婦も参列者と一緒に円卓を囲み,皆で食事を楽しんでお祝いします。特に四川省では,披露宴には誰でも参列できます。挙式後は全員でそのまま新郎新婦の新居に行き,ダンスをしたりして,にぎやかにお祝いする風習があります。そのため,新郎新婦は,必ず前もって新居の部屋の飾りつけをしておきます。

一方,日本の結婚式は静かな雰囲気なので,驚きました。通常日本の披露宴では新婦は食事をしないものだと仲人さんから言われたのですが,中国では新婦もたくさん食べますよ。お腹がすいてしまいますしね(笑)。また,中国では「赤」がおめでたい色なので,花嫁は必ず赤いドレスを着ます。

*日本語がお上手ですが,来日後に覚えたのですか。

上海で主人と知り合ってから日本語を勉強したので,日常会話くらいはできました。

来日後は,主人の両親と同居したので,日本語をもっと勉強したくて水戸国際日本語学校に通い,日本語検定1級を取得しました。

*それは凄いですね。初めて日本に来て驚いたことは何ですか

日本のイメージは東京のような都会を描いていたので,主人の実家のある常陸大宮市に初めて行った時は,とても田舎で驚きました。家の軒先にツバメの巣*を見つけた時は,「こんな身近なところで」とびっくりしました。中国では沿岸部に行かないと見られませんから。

*中国の三代珍味で高級食材とされているツバメの巣は,沿岸部の崖の高いところで採取される。医食同源とされる中国では長寿の薬とされる。

*日本に来て良かったと思うことは何ですか

近所のお嫁さんたちが優しい方ばかりで,私が出産した時にみんなでお祝いに来てくれたのが嬉しかったですね。「次の出産は,子どもたちが同級生になるようにしましょうか。」なんてみんなで話したこともありました(笑)。

また,主人の両親は優しくて実の親子のように,お互い遠慮なく言いたいことは言って仲良くしていました。今は二人とも他界していませんが,何かもっとしてあげたかったなと思います。

*日本人同士の結婚でも嫁姑の問題は永遠の課題ですが,素晴らしいですね。

主人の両親からは,「洗濯を干す時は,必ずボタンが南を向くように干し,北向きに干さない」とか,「逆さ水はだめ」など,日本の風習をたくさん教わりました。日本に住む以上は,日本人が皆やっていることだから覚えなければと思っていましたが,後で日本人全員がやっていることでもないとわかりました(笑)。

また,私の姉も日本人に嫁いで御前山に住んでいるのですが,一昨年の地震の時に,被害の少なかった姉の家に泊めてもらい,近くに姉がいて嬉しかったですね。

*日本で生活する理江さんの,日本人に対する思いを教えてください。

日本人の持つ思いやりの気持ち,そして礼儀が正しいところがとてもすばらしいと思います。

私は日本での生活が長いので,自分が外国人だとは特に感じないですね。逆に,中国に帰った時に違和感を持つことがあります。中国人と接する時には,感じ方や付き合い方が日本人とは違うので,難しく感じます。

*それでは,中国に帰られた時に,中国人と,日本人との違いが気になることはありますか?

かなり違うなと思うことは,時間に対する感覚ですね。私の故郷が四川省で,田舎だからかもしれませんが(笑)。例えば,人と会う約束をする時には「何日の午前中に会いましょう」という感じで,日本のように,「何時何分に会いましょう」という約束のしかたはしません。私は,日本で時間通りに物事が進むことに慣れてしまっているので,中国に帰るとのんびりしていると感じます。

*将来の夢は何ですか。今後ずっと日本に住もうと思っていますか。

ここが自分の家だと思っていますから,これからも日本に住みます。皆さんも一度お嫁に行ったら,何十年後かに実家に戻る,ということはしないですよね。

私は夢を追うよりも,現実的なことを考えていて,いつも周りの人が元気で仲良く楽しく暮らせるように毎日努力したいです。また,ずっと続けている四川料理教室はこれからも続けていきたいです。そして,日中の橋渡しができればいいですね。

*それはすばらしい夢ですね。それでは,中国に旅行する時のお勧めを教えていただけますか。

北京です。歴史的なものがたくさんあって,とてもすばらしいですよ。そして,中国国内はとても広いです。私が住んでいたところから北京は遠かったので,日本に来てから初めて行ったくらいです。

食べ物が美味しいのは,四川省ですよ!でも,日本でも美味しい四川料理が食べられますよ。どうぞ私の料理教室にいらしてください(笑)。

*では,最後に,中国の大きな行事といいますと,私たち日本人が知っているのは「春節」くらいなのですが,それ以外の大きな年中行事はありますか。

まずは,4月5日の「清明節」です。これは日本のお盆のような行事で,お墓参りに行きます。また,旧暦の8月15日はお月見なのですが,これも大切な行事です。この日は月餅(げっぺい)を食べます。

3月8日の「婦人節」もありますね。中国では男女平等に対する考え方が進んでいて,女性の地位が確立されています。毛沢東も「天の半分は女性が支える」と言っています。また,中国では,結婚するということは,男性が女性を幸せにすることと考えられています。なので,男性が家事や育児をして女性を助けている姿を見ると,皆褒めますよ。

中国は大陸ですし,島国の日本とは文化的に大きな違いがありますね。私は,日本は人も資源も少ないなかで,みんな頑張っていてすばらしい国だと思います。今後も国際交流を通して,中国と日本が末永く仲良くして欲しいと心から願っています。

*私たちも本当にそう思います。明るい理江さんの人柄が伝わる楽しいインタビューでした。どうもありがとうございました。

水戸市国際交流センターにて (2013年4月)

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