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インタビュー ~外国人から見た日本、水戸~ <中華人民共和国>

高 建華さん(中国)

    

 プロフィール

1987年に初来日。1991年に茨城大学入学。現在、水戸市内で高校生や大学生、社会人向けに中国語を教えている。

趣味は読書と旅行。

 

国旗: 赤色は革命を、黄色は光明を表す。また、大きな星は中国共産党を、4つの小さな星はそれぞれ労働者・農民・小資産階級・愛国的資本家の4つの階級を表す。


*いつ来日しましたか、またきっかけは何ですか。

1987年10月に来日しました。当時、日本政府が外国人留学生10万人を受け入れる政策を行っておりました。その時、「その制度を利用して留学しませんか。」と知人に誘われたことがきっかけです。初めは東京にある日本語学校で日本語を学び、1991年に茨城大学へ入学、卒業後は同大学大学院へ進学しました。私自身、中国で大学に進学しなかったので、日本の大学で学びたいという気持ちがあり、来日を決めました。

*では高さんは初めから中国の大学へは進学せず、日本へ留学することを決めていたのですか?

いいえ。中国で大学受験はしましたが、進学しなかったのです。それは何故かと言うと、両親は私が医者になることを望んでいて医科大学を三度受験しましたが、とても難しく失敗してしまったからです。医科大学以外の大学へ入ることは出来たのですが、私が医科大学の受験に失敗する度、両親が「もう1年、もう1年」と言うので受験を続けました。3度目の受験の時は、プレッシャーが強過ぎて試験会場で倒れてしまいました。その時はとても辛く、「受験に失敗してもこれで最後にしよう。」と決めていました。けれど3度目の受験後、両親は「他の大学には行かず、もう1年受験してください。」と言ってきました。その時私は「大学に行かせてくれないなら、それで構わないわ。もう来年は受験しない。」と決めていました。それで大学へは行かずに、国家公務員になったのです。その後で来日しました。

*高さんのご両親はお医者さんなのですか?

いいえ、両親は医者ではありません。しかし、自分たちの子どもを医者にすることを望んでいました。私は8人兄弟の5番目なのですが、上の兄たちは大学へ進学するか、国家公務員になりました。下の妹は医科大学に合格して医者になりましたが、今は中国の男性と結婚して主婦になっています。ちなみに茨城県内にいるんですよ。残念ながら中国の医師免許を持っていても、日本で医師として働くことは出来ないのですが。

*そうなのですか。ところで、日本へ来るために国家公務員を退職するということは、とても勇気が必要だったのではないですか?

そうですね。しかし、知人から日本への留学を誘われた時は自分自身、大学へ行きたい気持ちが強くなり、日本で頑張って勉強しようと心に誓いました。両親は国家公務員を辞めるのはもったいないと言っていましたが、説得した結果、日本へ行くことを承諾してくれました。周りの皆は私が半年で帰ってくるだろうと思っていたようです。結局私は帰らず、今に至ります(笑)。

*初めて日本に来た時に驚いたことはありますか。

まず成田空港が広くて明るいことに驚きました!そして私が空港で他の人にぶつかってしまった時、相手の日本人が「すみません」と言ってくれたことにも驚きました。ぶつかったのは私の方なのに…。日本人の礼儀正しさにとても驚きました。

*日本に来るまでは、日本に対してどのようなイメージを持っていましたか?

日本の製品は質が良いので、きっと日本での生活も良質なのだろうと思い、ずっと憧れていました。なので、留学のお誘いを受けた時は「行ってみたい」と感じました。

*日本に来てからの失敗談は何かありますか?

日本の若者がわざと穴の開いたジーンズを履いているのを見て、「あの人は何故若いのに、あちこち穴の開いたような服を着ているのだろう。」と疑問に思いました。その後、先生から「あれはファッションだよ。」と教えてもらいました。

他にも授業で私は結婚しているので、「愛人がいます。*」と発言しました。先生はとても驚いて、「そんなことを大きな声で言わないで。」と言っていましたが、当時の私は先生が何故驚いたのか分かりませんでした。

*中国語では「愛人」というと文字通り、「愛する配偶者」という意味になる。

*20年以上日本に住んでいて、日本や日本人について「いいな」と思うことはありますか。

ありますね。私は社会人向けの中国語講座で十数年間教えています。日本の方は好奇心がとても強く、生きることに積極的だと感じています。社会人講座の中には会社を定年退職された方やお年を召した方々が多くいらっしゃいます。そういう方が家の中に籠もらず、外に出て人付き合いをしている姿や、色々なことを吸収しようとする姿勢はとてもいいなと感じます。私の講座では93歳になった今でも中国語を学んでいる男性がいらっしゃいますよ。

*何か夢や今後の目標はありますか?

夢や目標とはまた違うのですが、今、日本は少子高齢化が凄く進んでいますので、お年寄りの方が元気な時に少しでも楽しく過ごせるようにするのは私の義務ですし、亡くなった時に送るのも私の義務だと認識しています。特に社会人講座の生徒はお年寄りの方々が多いので、強く感じます。悲しいことかもしれませんが、そういったことを日々感じています。

もちろん高校や大学の授業では少しでも中国語を話せる人、少しでも中国を理解してくれる若い人を育てようという気持ちもあります。意思疎通には言葉が必要なので、お互いの国が理解し合えるように中国語を教えています。

*最後に、中国へ旅行する際のお勧めを教えてください。

初めて中国を訪れる方には北京や西安のような歴史ある場所を、何度か訪れている方には九寨溝や、水路で有名な杭州をお勧めします。

*高 建華さんの温かい人柄が伝わるインタビューでした。本日はありがとうございました。

2012年10月26日 水戸市国際交流センターにて

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