ニュース&トピック

水戸に住んで、日本語を勉強できることがうれしいです~サルサビラ ザキヤーさん

日本には昨年(2024年)の7月に来ました。
 大きな重いスーツケースを二つ持って成田に着いて、一つは宅急便で送り、もう一つは自分で持って電車に乗って水戸に来ました。夫が迎えに来てくれたんですが、電車を1回乗り間違えて大変でした。インドネシアも湿度が高くて暑いですが、日本の日差しは暑いというより痛いと感じました。
 インドネシアの大学では農業産業技術を、大学院では化学工学を専攻していました。日本に来る前はリサーチャーの仕事をしていましたが、結婚して、夫が茨城大学に留学することになったので、水戸に住むことになりました。

美しくて、清潔で、静かな場所・・というのが水戸の第一印象です。
 水戸は、街が静かで落ち着いていて環境がいいので、とてもリラックスできます。インドネシアの私が住んでいた街よりもずっと静かです。
 それと、たとえば東京とか、大きな街に行くと外国人も多いし、たぶん英語を話せる人も多いでしょうから、私もつい英語でしゃべってしまうと思うんです。その点、水戸にいると英語で話せる人はそれほど多くないですから、日本語の勉強になります。大都市ではありませんが、生活に必要なものはそろっていて、水戸に住めてうれしいです。

水戸に住んでから、編み物をはじめました
 冬になって、水戸が寒いのには、びっくりしました。私が住んでいたインドネシアのバンドンというところは、平均気温が25℃ぐらい。雨季と乾季はありますが、それほど気温の差がないんです。高校生の頃に、編み物を教わったことがあったのですが、インドネシアは暖かいので編み物をすることはなかったんです。でも水戸がとても寒いので、休みの日にYouTubeで編み方を見ながら、マフラーを何本も編みました。

オランダに住んだことがあります
 寒いけれど水戸では雪はあまり降りませんね。インドネシアでも雪は降りませんけど、16歳から17歳までオランダに住んでいたので、そこで雪は見たことがあります。両親がイタリアで仕事をしていて、イタリアにはインドネシア人の学校がなかったので、オランダで学校にはいりました。オランダの学校は、オランダ語、ドイツ語、フランス語、英語を全部、勉強しなくてはならなかったので大変でしたけれど、いい経験だったと思います。 
 英語はこの時と、大学院の時に国際セミナーでプレゼンテーションをしなければならなかったので、一生懸命勉強しました。

小学生の頃、日曜日はテレビでずっと日本のアニメを見ていました
 こどもの頃から日本のアニメが大好きでした。日曜日は、テレビでアニメをたくさんやっていたので、それをずっと見ていました。コナンとか、ポケモン、ドラえもん。言葉はインドネシア語ですが、アニメを通して日本の文化やさまざまな場所を知って、日本に興味を持つようになりました。中学生になってからは、友人とインターネットで、アニメの日本語バージョンを見ていましたし、高校生になってからはレンタルビデオで日本のドラマを見ていました。ずっと日本語を学びたいと思っていたので、今、ついに日本語を勉強することができて、うれしいです。

Q 水戸で気に入っている場所は
 今のところ、一番好きな場所は歴史館です。秋にそこへ行って、黄色いイチョウの木を見ました。本当に美しかったです。春になったら、偕楽園や桜川に行くのがとても楽しみです。まだ本物の桜やピンクの梅の花を見たことがないので、ワクワクしています。暖かくなったら大洗にも行ってみたいです。

Q 感心していることは?
  お年寄りが、とても健康的なことに感心しています。早足で歩いていたり、自転車に乗って移動したり。アルバイト先にもお年寄りがいて、仕事をしていて本当にすごいと思います。インドネシアのお年寄りよりも、とてもエネルギッシュだと思います。

Q 日常の習慣で何か気づいたことがありますか?
 インドネシアは、日本ほど乾燥していないので「うがい」をする習慣があまりありませんでした。日本に来たら、夫は、ちゃんと「うがい」ができるようになっていて、私にも勧めるんですけれど、なかなかうまく出来なくて。でも「うがい」が喉にいいことはわかっているので、練習中です(笑)

Q 驚いたことは?
  スーパーに行って、果物や野菜の値段が高いことにびっくりしました。インドネシアと比べるとかなり高いです。お魚も高いですね。大洗が近いのに、なんで?と思いました。でも、仕方がないですよね。今は、買うものを考えて、いろいろアレンジしているので大丈夫です。

Q 困ったことは?
 私は、ムスリム(イスラム教徒)なので、最初の頃は、スーパーやレストランでハラール(*)の食べ物が見つからず、困りました。そのため、野菜、卵、魚しか買いませんでした。でも、しばらくしてから、ハラールの肉やインドネシアのスパイスを売っているお店があることがわかったので、そこを利用しています。

*ハラールについて、サルサさんに教えていただきました。

 イスラム教では、「ハラール」とは「許可されている」「認められている」という意味です。食べ物は、豚肉、アルコール類などの、禁じられた成分を含んでいてはいけませんし、豚肉以外の肉も、イスラムの教えに従って屠殺される必要があります。多くのムスリムは、食べるものが本当にハラールかどうかを確認します。今は、スマホをかざすとハラールかどうかがわかるアプリがあるので、それを利用することもあります。
 お菓子も、動物由来の成分を含むもの、ゼラチンや乳化剤を含むものは食べません。でも私は、もしも友だちから食べられないお菓子などを勧められたら、丁寧にお断りしてその理由を説明するようにしているので、あまり気を遣いすぎないでほしいです。

Q サルサさんにとって、水戸が、もっと住みやすい街になるために、どんなことが必要ですか?
 私は、1日に5回お祈りをします。なので、水戸にもっと利用しやすい礼拝堂や、お祈りのための「ウドゥ」(礼拝前に行うイスラムの清めの儀式)の場所が整備されるといいなと思っています。外出している時は、公園や公共の建物の廊下の一角など、お祈りできる場所を探さなければならないので、少し大変です。
 それから、水戸のスーパーや市場にもっとハラール食品が増えて、ハラールのレストランも増えることを期待しています。
 私を含めムスリムにとって、水戸がさらに暮らしやすく親しみやすい場所になることを願っています。

 アジアやアフリカ、中東出身の多くのムスリムの方が水戸で暮らしています。街なかでも、ヒジャブ(イスラム教の女性が頭や身体を覆う布)を身に着けている方と行き会うことが増えています。サルサさんも、この冬はヒジャブに防寒のマフラーという出で立ちでセンターに通っていらっしゃいました。ハラールのこと、お祈りのことなど、お話を伺って「知ること」の大切さを、あらためて感じたひと時でした。いつか機会を作って、サルサさんに、インドネシアの生活や文化についてもご紹介いただきたいと思います。

« 一覧へ戻る

ページトップへ