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インタビュー 外国人から見た日本、水戸 <ベラルーシ>

アリエーナ ドゥダリェヴィッチさん(ベラルーシ共和国)

   

首都ミンスクの郊外で生まれ、ミンスクの学校(小・中・高一貫校)で英語教師を務める。2009年10月に来日し、茨城大学教育学部に在籍中。


*日本に興味を持ったきっかけは。

友達が日本に留学したことも影響していますが、私が勤めていた学校に日本人の生徒がいたこと、子どもの頃からテレビや本で見た桜や富士山、着物等の美しいイメージに憧れ続けたことも大きかったです。それに、日本はアジアで一番安全だと思っていました。

また、小学生の時、「原爆の子の像」の話を教科書で読み、いつか広島を訪れたいという想いもありました。

日本映画も好きで、黒澤明監督の作品等を鑑賞しました。ハリウッド映画はハッピーエンドで終わる作品が多いですが、日本映画のエンディングでは何か考えさせられることが多いですね。

*日本についての知識が豊富だったのですね。いざ、日本に来てびっくりしたことはありましたか。

来日初日、水戸に着いたのは午後5時頃だったのですが、もう暗くなっていてびっくりしました。ベラルーシは、夏場だと朝5時~夜10時頃まで明るいので、暗くなると寂しい気持ちになりました。

私は、水戸も東京のように賑やかな街かと思っていたので、静かな所でびっくりしました。私が住む所も静かな住宅街なのですが、週末に突然高い声で何かを発しながら走る車が来た時は、日本語がよくわからず「火事かな?」と思ってしまいました。後から友達に「それは竿竹売りの車だよ。」と教えてもらい謎が解けました。

それから、日本では日常的に自転車に乗る人が多いことに驚きました。ベラルーシでは、バスや路面電車が発達しているので、普段は自転車に乗ることはほとんどありません。私自身、日本に来て久々に自転車に乗りました。

*ベラルーシでは教師だったアリエーナさん、日本の学校を見学する機会はありましたか?

はい。大学の授業の一環で、小学校や中学校を視察したことがあります。日本の学校は制服があって良いですね。毎日何を着ようか悩まずに済みますから。

それから、子どもたちが自分で掃除をすることも良いことだと思いました。多くの国では、学校の掃除は用務員の仕事です。ベラルーシでもそうですが、自分達でやらない分、掃除の仕方がわからない子もいるんですよ。

*日本人についての印象はいかがですか。

お店の店員さんが、買い物をしてもしなくても必ず「ありがとうございます。」と言ってくれる所が優しいなと思います。日本人は、よく「すみません。」と言いますね。謝る必要がない場面で「すみません。」と言われると、「どうして謝るの?」と思いますが、とても礼儀正しい文化ですね。おじぎをすることも、私にはまだまだ難しいことですが、良い文化です。大学でも、学生の間ではあまり見ませんが、先生同士や、学生が先生におじぎをする場面をよく見ます。

それから、写真好きな方が多い気がします。私も何度かカメラを向けられ、不思議に思ったことがありました。日本人は旅行も好きですし、いろいろ思い出に残したいのかなと、最近ではその気持ちもわかるような気がします。

*身近な場面で色々な発見がありますね。他に日本文化等について感じたことは?

伝統を大切にしている所は素晴らしいと思います。例えば、成人式や結婚式等では、きれいな着物を着る人が多いですよね。ベラルーシでも伝統的な衣装はありますが、ほとんど着ることはありません。

また、集団を大切にすることも独特の文化ですね。人によるのでしょうが、多くの日本人がクラブ活動や仕事の人間関係を大切にします。日本では、単身赴任や転勤を伴う仕事が多くて驚きました。ベラルーシでは家族が大切なので、親族で集まることはあっても仕事上での飲み会等はあまりありません。組織の多くは国営で、いくつも支店があるような民間企業はほとんどないため、転勤も考えられません。仕事よりも家族で過ごす時間が一番なのです。でも、日本では転勤を通して、より多くの人に出会えるというメリットもありますよね。

*日本の生活、楽しんでいますか?

はい。芸術が好きで、葛飾北斎の浮世絵等に興味があります。自然や人が描かれた作品が好きですね。旅行も好きですよ。広島はもちろん訪問しましたし、松本城や姫路城へも行きました。

たまに東京に行くと、お姫様のようなファッションをした女の子がいたりして、思わず写真を撮ってしまいます。日本の流行は常に新しいものを求めて、動きが速いですね。

食べ物もおいしいです。特に日本のカレーや寿司、イタリアン、中華が好きです。ベラルーシでは、料理に油を多く使いますし、煮込み料理が多いので、調理時間が長くかかります。でも、和食は体に良いし、作り方も簡単で良いと思います。

*将来の夢を教えてください。

私の両親は忙しかったので、幼い頃の私は、幼稚園に行く代わりに祖母に面倒を見てもらいました。とても尊敬できる人なので、祖母のような人間になりたいです。

また、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の詩に出てくるような人間でもありたいです。仕事にも家族にも恵まれ、幸せに暮らしたいです。

*アリエーナさんの留学期間は2011年3月で終了し、その後ベラルーシに帰国されてしまいますが、今後のご活躍を期待しています。ありがとうございました。

(2011年1月  水戸市国際交流センターにて)

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