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インタビュー ~東日本大震災後の外国人に聞く~ <タイ>

宮内パパッサラ(タイ)

   

バンコク出身。

通訳・タイ語の講師。ひたちなか市在住。  国旗:青色は「国王」、白色は「宗教」、赤色は「国家」を象徴し、王室を中心とした忠誠心・信仰心を表す。


*どんなきっかけで来日しましたか

私は子どもの頃から、日本のアニメやドラマをテレビで見たり、少女マンガを読んだりして、日本の文化に憧れと興味を持っていました。タマサート大学に入る頃には、タイへの日本企業の進出が目覚ましく、私は就職活動のことも考えて日本語を専攻しました。卒業後はホテルに就職が決まり、日本人客の担当として働きました。日本人客の中には、それまで私が勉強した標準語以外に関西弁や東北弁など話す人もいて、日本の文化・習慣などをもっと勉強すればより良いサービスができるのではないかと思うようになり、1年後には仕事を辞めて東京の大学に留学しました。

*来日して一番驚いたことは何ですか

日本の銭湯にびっくりしました。友達の家に泊まりに行った時、お風呂がないので銭湯に行ったのですが、直前に銭湯の入り方を聞いて驚きました。友達に習って勇気を出して服を脱いだのですが、その先の風呂場の様子をみたら恥ずかしくて、私はあわてて脱衣場に戻って友達が終わるのを待ちました(笑)。今でも銭湯と温泉には入ったことがないです。

*日本人のご主人とはいつ知り合いましたか

主人とは、留学中に茨城でアルバイトをしたときに知り合いました。東京の大学を卒業してからは、帰国して日本企業の秘書の仕事に付きましたが、彼との付き合いは続いていて、一年後に結婚をして茨城に来ました。息子がもう15歳になります。

*3月の大震災のときはどんな様子でしたか

その時、私はひたちなか市を運転中でした。今までに体験したことのない大きな揺れが長く続いたので恐ろしかったですね。信号もすぐに停止し、道路も段差ができて、とにかく安全な場所を探してコンビニの駐車場に避難しました。夫や息子との連絡も取れないまま不安に思いながら、周辺にいる人たちから情報を聞いたりしていました。

勝田から土浦までスクールバスで通学している息子を、毎日勝田駅まで車で送迎していますが、その日はいつになるか分からないスクールバスの到着を待ち続けました。やっと息子に会えたのは、夜中の12時でした。それから自宅までの道のりも、停電のため真っ暗で怖かったですね。自宅に着くと、主人が帰宅していたのでほっとしました。

*震災後、困ったことや感じたことはありましたか

停電や断水が4日も続いて不便でしたが、主人の実家が近いので助け合いながら何とか過ごせました。家も多少は被害がありましたが、東北の人々の被害に比べたら我慢できる程度です。それより、原発の心配がありますね。電気は私たちの生活になくてはならないものですが、これからはどうなるのかと心配です。

タイにも原発があります。私の実家では、「日本の食べ物は大丈夫なのか。雨は大丈夫か。」と心配していました。私も心配はありますが、今までどおり生活しています。

*震災後、気を付けていることはありますか

断水や停電に備えていますし、ガソリンが半分減ったら入れるように心がけてはいます。それから地震の直後に、タイにいる弟にスカイプで無事を知らせることが出来たので、実家の母も今ではスカイプを覚えて、いつでも連絡できるようにしています。

*将来の夢はなんですか

私の夢というより息子に託す夢になりますが、将来、国際的で優しい大人になってほしいと思っています。私自身も今までしてきたことですが、これからも困っている外国人を助けたり、国際交流を続けていきたいと思っています。

*タイの洪水はその後いかがですか

今は洪水の被害が大きくて経済的にも大変ですが、タイはプラス思考の国です。まもなく王様の誕生日でもある「国の日」を迎えるので、お祝いができるようにその日を目標に、国民は愛する国の為、今は一つになり協力し合って、もう一度「ようこそ微笑みの国タイへ」と言えるようになると思います。

※タイの洪水:2011年のモンスーン期に起こった洪水で、いくつもの台風が上陸したことにより、複数の川が氾濫し甚大な被害を受けた。洪水は7月の初めに発生し、3ヶ月以上も続いている。

 

*「微笑みの国タイ」へ旅行するときのお勧めを教えてください

南国のプーケットから見る海はとてもきれいですから是非行ってみてください。それから遺跡に興味のある方は、アユタヤとスコータイが素晴しいのでお勧めです。買い物を楽しみたい時には、アジアン作家が多く住んでいることで有名な、北部のチェンマイがいいと思います。手作りの布(コットンやシルク)や小物の素敵なお店が並んでいます。

*私達もタイの復興をお祈りしています!今日はありがとうございました。

水戸市国際交流センターにて2011年11月

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