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インタビュー ~東日本大震災後の外国人に聞く~ <イギリス>

ジェフ・ラッジさん(イギリス)

那珂市在住、AET

  

イギリス国旗:イングランド・スコットランド・アイルランドの3つの神様の十字架を組み合わせてできている。 


*いつ、どのようなきっかけで来日しましたか。

2002年にニュージーランドで日本人の妻と出会って、2004年に結婚し、初めはイギリスに新居を構えましたが、その後、2005年に日本に住まいを移しました。

*ジェフさんはスイス生まれのフランス育ちだそうですね。

はい。でもスイスとフランスの国境近くに住んでいたので、フランスの家からスイスまでは10分くらいでした。(笑)ずっとフランスで育ちましたが、父の職場はスイスにありましたし、買い物をするのもスイスでした。父はイギリス人で、母はドイツ人なので、私の国籍はイギリスですが、故郷といえばフランスですね。

*そうでしたか。色々な国に行かれた経験をお持ちのジェフさんですが、日本の印象はどうですか。

住みやすくてとても安全な国だと思います。例えば、日本ではちょっとコンビニに寄る程度だったら、車のカギをかけないままにしてしまう時もありますが、ヨーロッパでは危ないので絶対にできません。

*ヨーロッパと違っていて驚いたことはありますか。

色々違うことはありますが、そんなに驚いたことはありませんね。色々な国を旅行した経験があるからか、新しいものを見ると、驚くというよりも楽しく感じます。唯一驚いたことといえば、食べ物のことですね。日本に来るまでは、日本の食べ物といえば生魚とごはんというイメージだったので、自分の食べられる物があるか心配だったのですが、実際には種類が豊富だったので驚きました。つけものと納豆は苦手ですが、それ以外は何でも食べられます。(笑)

*311日の地震のときの様子を聞かせてください。

地震があった時は、勤務先の学校で英語の授業をしていました。古い学校で、今年ちょうど建てかえる計画があったので、その前に起きたニュージーランドの地震のことが頭をよぎり、建物が倒れないか心配になりました。生徒たちはいったん机の下に隠れて、その後、外に避難しました。結果的には、建物に少しひびが入った程度で済み、けがをした人もいなかったので良かったです。

私には3歳の息子がいますが、子どもの通う保育園は私の勤務先のすぐ隣だったので、その点はすごく安心でした。家も特に大きな被害はなかったので、次の日に原発や東北の被害状況を新聞で見るまで、そんなに大きな震災だったとは思っていませんでした。外国では「日本は危ない」、「在住外国人は安全なところに避難するように」と報道されていて、何が本当の情報か分からない状態でした。最初はフランスに帰る気はなかったのですが、フランスの家族も心配していましたし、ちょうど学校が春休みになったこともあり、10日間くらいフランスに帰りました。

この震災で感じたのは、停電になって信号が止まっても整然と並んで待つなど、混乱の中でも秩序を保つ日本人はすごいな、ということです。外国、特にフランスでは難しいことだと思います。

*原発についてはどう思いますか。

私は、原発と私たちの生活を切り離して考えることは難しいと思っています。特に日本は電力需要が大きいですから、原発が無ければ生活が成り立ちません。ただ、震災前に安全確認をきちんとしていなかったことは問題だと思います。フランスではほとんどの電力を原発で賄っていますが、安全確認をしっかり行っています。

また、ソーラーパワーなどの代替エネルギーをこれから増やしていく必要があると思います。新しく取付ける家庭に補助金を出すなど、代替エネルギーを推進するような制度があったらいいのではないでしょうか。お金はたくさんかかってしまうかもしれませんが、今きちんと対応しなければ、子どもや孫の世代に影響する可能性があるので、それだけは避けなければなりません。私には小さい子どもがいるので、特に子どもの将来を心配しています。

*将来の夢がありましたら聞かせてください。

妻と一緒に日本でペンションを経営できたらいいなと思っています。私自身、ニュージーランドにいた時にバックパッカーとして旅行をして楽しかったので、バックパッカーが集まれるような場所を作りたいですね。茨城がすごく好きなので、できれば離れたくないのですが、旅行者があまり来ないので、とても残念ですが、ここで経営するのは難しいかもしれません。いずれにしても先のことなので、もう少し考えたいです。

*最後に、フランス旅行をする時のアドバイスをお願いします。

あいさつ程度でいいので、ぜひフランス語を覚えて、使ってみてください。フランス人は母国(語)にプライドを持っている人が多いので、いきなり英語で話しかけられることに抵抗があるかもしれません。

あと、できればパリ以外のところに行ってほしいですね。きれいなところがたくさんありますから。日本人はフランスといえばパリを連想しがちですが、私は、フランスとパリは別物だと思います。

それから、ぜひ試してほしいのは、早起きしてパン屋に行くことです。フランス人は朝にパンを食べる人が多いので、フランスのパン屋は朝3時頃からパンを作り始め、6時頃にお店を開けます。焼き立てのパンを朝食にするのは最高です。

そして、くれぐれも安全には気をつけてください。日本は安全な国なので、例えばATMでお金をおろした後にお札を数える人がいますが、ヨーロッパではすぐに財布にしまいます。日本人は安全に慣れているので何も考えないのかもしれませんが、外国で日本と同じように行動しては危険です。これはフランスに限らずヨーロッパ全体にいえることですが、充分気をつけて、楽しい旅行をしてほしいと思います。

*今日はどうもありがとうございました。

水戸市国際交流センターにて(H23.8)

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