ニュース&トピック

インタビュー ~東日本大震災後の外国人に聞く~ <ベトナム>

ホーキムゴック カムトゥ(ベトナム・ホーチミン出身)

ひたちなか市在住、主婦

      

国旗:赤は社会主義国に見られる色で独立の為に人民が流した血、

黄〔金〕は革命、星は社会主義の象徴、

5本の光は労働者、農民、兵士、青年、知識人を表す。

 


*来日したきっかけを教えてください。

私はホーチミンの日本料理店でアルバイトをしていましたが、店には日本からの旅行客がよく来ていて、主人はそんな客の一人でした。主人も旅行仲間と何回か店に食べに来ましたが、皆とても楽しい人たちだったので、互いの住所を交換しました。後で主人から手紙が届いたとき、私は本当に手紙が来るとは思っていなかったのでびっくりしましたが、日本に興味があったので文通を始めました。そのうち主人は何度か私に会うためにホーチミンに来てくれて、来月が私の誕生日だと分かると、また、来てくれたのです。私は感動して、その頃から結婚を考えるようになり、2001年4月に主人の両親に結婚の挨拶をするために初めて日本に来ました。

 *そのときの日本の印象はどうでしたか。

来日してまず驚いたのは、街がとてもきれいなことでした。季節も春でしたしいろいろな種類の花が咲いていました。住宅地の玄関先や外の階段にプランターがきれいに並べてあり、花屋かと勘違いするくらいでした。(笑)

日本に来て最初の夜、主人の母から、一番目にお風呂に入るように勧められたのですが、ベトナムと同じだと思って入ったら、湯船があるので困ってしまいました。前に観た映画のシーンで、外国人が湯船を泡だらけにして入っていたのを思い出し、同じようにして入り最後にお湯を全部流してしまいました。後で主人から正しい入り方を聞いてびっくりしました。(笑)

 *そうでしたか(笑)。日本で暮らすようになって嬉しかったことはありますか。

私は日本の伝統的な着物が好きです。着物との出会いは、主人の親戚の結婚式に着物で出席したときでしたが、皆から似合うと褒められ、「着物っていいな」と思いました。二度目は国際交流センターのパーティーで、着物を着せてもらい司会を務めたのですが、着物を着ると姿勢も良くなり、気持ちがいいので好きになりました。

その後、着付けを教わる機会があり、今では自分でも着られるようになりました。

 *カムトゥさんは、以前に着物コンテストの外国人部門で優勝したことがありましたね。

「着付けを習ってコンテストに出ないか」というお話をもらい、頑張って着付けを習いましたがとても難しかったです。コンテスト当日は、舞台で着付けを披露しました。会場には大勢の観客がいたので緊張しましたが優勝と聞いたときは本当に嬉しかったです。

これからはせっかく覚えた着付けを忘れないように、時々着物を着たいと思っています。

 *311日の地震のときの様子を聞かせてください。

幼稚園まで息子を迎えに行った帰りにスーパーマーケットに寄り、店に入ってまもなくあの地震にあいました。すぐに息子と外に出ましたが、揺れが収まりそうもなく、私は怖くなり店員さんにしがみつき叫んでしまいました。後で考えたら、息子が一緒にいたのに、余計に怖がらせてしまったと反省しました。(笑)

急いで家に帰ると、義母は外に出て近所の様子を見ていました。義母の姿を見てほっとしましたが、塀は崩れ落ち、家の中は家具などが倒れていて本当に驚きました。

小学生の長女は吹奏楽部の練習があるのでいつもは夕方迎えに行きますが、地震の後、学校からの連絡があると思い、すぐに迎えに行きませんでした。でも夕方になり、近所のお母さんから、「3時頃に学校からのメールがあって迎えに行った」と聞いて私は焦りました。急いで小学校に迎えに行き、娘を見たときにはホッとして涙が出てしまいました。

 *電話や携帯がつながらなかったのですね。大震災後、困ったことや感じたことはありますか。

震災後、断水が思ったより長引き、買い置きしていた水もなくなった頃に、近所のお宅から井戸水を頂くことができて助かりました。初めは遠慮してやかんに入れてもらっていましたが、そのうちにたくさん頂くことができて、久しぶりにお風呂に入れたときは嬉しかったですね。ベトナムだったら、他人に水をただであげたりしないと思います。むしろ商売にするかもしれません。(笑)日本人は親切ですね。

スーパーでは、買い物客の人数制限があって私も並びましたが、待たされても文句を言う客もいないし、店内では1人10品しか買えないと分かっても落ち着いて買い物をしていました。日本人はルールを守り、我慢強いと思いました。

震災後、主人が、「何日か経てば普通の生活に戻るから大丈夫だよ。」と言って冷静だったのにも驚きました。

*将来の夢がありましたら聞かせてください。

私は主人と早くに結婚して大学で学ぶ機会がなかったので、これから大学に入学して日本語をもっと勉強したいと考えています。卒業後は、日本語のできないベトナム人に日本語を教えたり、私の子どもたちみたいに、日本で育ちベトナム語を覚える機会がない子どもたちに、ベトナム語を教えたり、また、通訳などもしたいと考えています。

*応援していますので頑張ってください。今日はありがとうございました。

水戸市国際交流センターにて(H23.7)

 

<番外編>ベトナム旅行の楽しみ方をカムトゥさんに聞きました。

・市場での買い物と、夜の屋台での食事がおすすめです。

・ベトナム南部のメコン・デルタはおすすめの観光地です。メコン川を小舟で渡ったり、メコン川にある島では、ココナッツ飴工場を見学したり、果樹園で果物を食べたり、ベトナムの民族音楽を聞いたりすることができます。

・ベトナム戦争の時に作られた「クチトンネル」は観光地となっていて、見学することができますので、ぜひ行ってみてください。

 

 

« 一覧へ戻る

ページトップへ