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インタビュー~外国人から見た日本、水戸~<フランス>

 

左側:アジズさん,右側:ルドヴィクさん
(フランス)

*アジズさんは,今回の来日は三週間の滞在とお聞きしましたが,初めての来日ですか?
私はパリに住んでいて,幼い頃から空手を習っていたので,試合のために,何度も日本を訪れる機会がありました。空手発祥の地である沖縄にも行きましたし,大阪,京都,東京などいろいろな場所に行っています。今回は,日本語を勉強するために,仕事を休んで日本に来ました。水戸市国際交流センターの日本語教室や,その他,ルドヴィクさんの奥様にも日本語を教えていただいています。
ひたちなか市の知り合いの家にホームステイしていますが,その方とは,3年前に宮島を観光した時に,レストランで相席になり知り合いました。その後,お互いにホームステイしたりしています。その家族がパリに来た時には,いろいろ案内をしました。

*それは素晴らしいですね。アジズさんのパリでのお仕事について,少しお聞きしてもいいですか。
昼間はエンジニアの仕事をしていますが,夕方からは,4か所で空手の先生をしています。全部で約200人の生徒がいます。オリンピックの種目になっている柔道はパリでも人気ですが,次回の東京オリンピックには,空手も種目に加わるので,その時には,フランス代表の付き添いとして来日すると思います。その日のためにも日本語を話せるようにしたいと思っています。とにかく私は,日本の文化も含めて,日本を気に入っています。昔からの日本家屋の床の間,掛け軸,生花などとても素敵です!

*ルドヴィクさんは,5年前から水戸にお住まいですが,今日はアジズさんの通訳も含めて,インタビューさせていただきますのでよろしくお願いします。ルドヴィクさんが日本で仕事をするきっかけはなんですか。
私の初来日は,10年前になります。栃木県の「若者自立塾」といって,ニートや引きこもりの方が普通の生活に戻れるように,というボランティア活動に参加しました。その時に知り合った日本人のお蔭で,日本の文化に触れることができ,もっと日本を知りたいと思いました。
帰国後は,交換留学生として,東京の大学に1年間留学しました。その後,フランスで英語の教師などをしましたが,日本で働きたいと思い,フランスの日本大使館で面接をして,JETプログラム*の国際交流員として5年前に来日しました。

*語学指導を行う外国青年招致事業(The Japan Exchange and Teaching Programme)の略で,外務省,文部科学省,総務省の協力の下,地方自治体等が諸外国の若者を任用し,外国語教育の充実と国際交流の推進を図る事業。

*お二人とも,日本の文化に触れて日本が好きになったということですが,来日して感じたことなどをお聞かせください。

アジズ:私は空手を通して日本を知ることができましたが,日本人は親切で礼儀正しいですね。また,人々が尊敬しあい,お互いに手助けをすることを大切にしていると思いました。大阪の友だちが私のために京都まで送迎してくれたことがありましたが,本当に助かりました。
それに,いつも感じますが,日本はどこに行ってもきれいですね。

ルドヴィク:私は日本の文化を知る以前は,日本人は何事にも厳しいと思っていました。でも,5年間仕事していく中で,そうではないとわかりました。ただ,日本の社会ではどうしても日本的に,今まで通り慣例に従うということが多いので,外国人の違った考え方を理解してもらい,何かを大きく変えることは難しいと実感しました。でも,皆さん親切で,職場では5年間楽しく仕事ができて良かったと思います。実は今月で国際交流員としての期間が終了して,来月から会社員になることが決まり,つくばへ引っ越します。

*そうでしたか。お疲れさまでした!ルドヴィクさんは日本の方とご結婚されていますよね。ご家族では日本食が多いんですか。

ルドヴィク:日本食は好きでなんでも食べます。特に,すき焼きが大好きです。納豆もよく食べますよ。

*すごいですね。納豆も食べられるんですね。アジズさんの好きな日本食は何ですか。

アジズ:私も日本食は大好きです。焼き鳥,天ぷら,蕎麦,家庭で作るお弁当も美味しくて好きです。フランスでも日本食は食べられますが,日本とは,魚の種類や鮮度が違うので,やっぱり本場の日本食はとても美味しいですね。

*アジズさんはパリ,ルドヴィクさんは南のトゥールーズのご出身と伺いましたが,地域によって家庭料理など違いますか。

ルドヴィク:私の故郷トゥールーズは,カモ肉やフォアグラをよく食べます。どちらかというと脂っこいものが多いですね。地域によって材料も違います。

アジズ:パリは国際色豊かなので,いろいろな料理が食べられます。マレ地区はフレンチ,中国系の人々が多く住む13区は中国料理,オペラ座のあるオペラ地区は日本人が多く住んでいるので,日本食が食べられます。サンタンヌ通りは日本の本もたくさんあるし,日本人に会えるのでよく行きます(笑)。エッフェル等の近くに日本文化センターもあります。

*水戸でお気に入りはどこですか。

アジズ:私は歴史が好きなので,徳川ミュージアムに行ってみたのですが,徳川将軍の像などがあって,とても面白かったです。まさに,「サムライ」という感じでした。偕楽園や弘道館へも行きましたが,日本的でとても良かったです。

ルドヴィク:私は,千波湖や逆川緑地など,自然が感じられる場所が好きです。

*将来の夢を教えてください。

アジズ:もちろん日本に来ることです。日本が大好きなので,いずれは日本に住みたいと思っています。そのための準備も,少しずつ始めています。
私は長男ですが,フランスには長男が家を継ぐという考えは無く,18歳になったら自立するという文化があります。ですから,私が日本に住むということに対して、親が反対するということは無いと思います。しかし,もし日本に住むということになったら,家族との連絡は,これまで以上に頻繁に連絡を取合うと思います。日本人は家族と離れて暮らしていても,あまり頻繁に連絡を取合いませんよね。
あとは,日本語の勉強を始めたので,早くルドヴィクさんのように日本語が話せるようになりたいです。

ルドヴィク:奥さんと一緒に住む素敵な家を見つけたいです。できたら古民家がいいです。将来はそこで,ゆったりとできる小さなカフェが開けたらいいなと思っています。

*最後に,フランスに旅行をするときのお勧めを教えてください。

アジズ:パリの世界遺産や建築物が,一度に楽しめるセーヌ川クルーズがお勧めです。バトーム―シュという観光船から,パリの美しい街並みをゆっくりと楽しめます。
もし時間があれば,ノートルダム寺院やルーブル美術館,エッフェル塔,ベルサイユ宮殿など,パリの観光名所へも足を運んでみてください。
さらに時間があれば,パリから少し離れますが,ロワールの古城巡りもお勧めです。どのお城も本当に素晴らしいですよ。

ルドヴィク:南フランスにあるトゥールーズは,パリから飛行機で1時間半程の場所にあります。トゥールーズはスペインの国境に近く,スペインの影響を受けているので,パリとはまた違った印象を受けると思います。
トゥールーズにも,様々な観光名所がありますが,私のお勧めは,ユネスコ世界遺産に登録されているミディ運河です。南フランスの景色を眺めながら,運河クルーズが楽しめます。
自然が好きな方であれば,フランスとスペインの国境にある,ピレネー山脈がお勧めです。冬はスキーを,夏はハイキングが楽しめます。大自然の中なので馬やクマなど,たくさんの野生の動物たちにも出会えますよ。
物づくりに興味のある方でしたら,ヨーロッパ大手航空機メーカーであるエアバス本社の工場見学ツアーがお勧めです。飛行機の製造過程や,大きな機体を目の前で見ることができて,どなたでも楽しめると思います。

*今日はお二人から,フランスのお話も聞けて楽しかったです。
アジズさん,これからも日本語と空手を頑張ってください。
ルドヴィクさんも新しいお仕事,頑張ってください。ありがとうございました。

水戸市国際交流センターにて 2018.7.1

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