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日本発見記 茨城高専5年生のタイ「リケジョ」

ジュイジョンラック・スナンターさん (タイ出身)

国立茨城工業高等専門学校

*タイのどこ出身ですか?

出身はタイのペッチャブリー県です。タイ中部でバンコクの西南、マレー半島の付け根にあって、タイ王室の保養地であるホワヒンのリゾートがある県といえば、わかる人もいるかと思います。

 

*いつ来日しましたか?きっかけを教えてください。

子どもの頃から算数や化学など自然科学系の勉強が好きで、ずっとそうした勉強を続けたいと思っていました。典型的な理系女子「リケジョ」ですね。タイには全国12か所に公立のサイエンスハイスクール(日本の中高6年の中等学校に相当)があり、私はそこの生徒でした。エンジニアリングを勉強していました。日本は、先端技術や工業技術が進んでおり、国も繁栄していて、日本のエンジニアリング分野は私の憧れでした。

私が3年生の時(日本でいう中3)に、サマープログラムに参加して茨城高専に来ることができました。その翌年(2018年)から、日本の高専機構がタイからの留学生を受け入れることになって、私たちの学年はちょうどそのタイミングに該当していたんです。それで、サマープログラムに参加した24人の学生が12人に絞られ、最終的に4人が2018年の春、茨城高専に入学することになりました。

 

*茨城高専のことについて教えてください。

茨城高専には約20人の留学生がいて、その半数近くがタイ出身で国別では一番多いです。高専機構の留学制度では、地元で中等学校6年の教育(日本の高卒に相当)を修了して高専の3年生に編入するのですが、タイのサイエンスハイスクールと高専との提携プログラムでは、中等学校3年修了で来日するので、日本の中学卒業生と一緒に高専に入学します。そのため、高専の1、2年生の留学生はタイからの学生だけということになります。留学生はみんな学校の寮で生活を送っています。

私は日本に来た時、日本語が全くわかりませんでした。それで高専に入学するわけなので、最初はとても大変でした。日本の学生が国語や社会科の教科を勉強する時間、私たちは日本語を勉強しました。数学はできましたが、理科や技術系の教科の授業も日本語で行われるので、本当に大変でした。日本語がわからないことで専門教科の勉強が遅れないように、日本語をひらがなから漢字まで一生懸命、勉強しました。

4月から5年生になりました。高専の本科は5年で修了ですが、私たちの留学プログラムは、さらに2年専攻科で勉強するため、計7年勉強することが目標のプログラム(大学卒業相当)です。本科は1学年200人、そのうち20人が専攻科に進みますから、専門的な内容を頑張って勉強しなければなりません。

 

*将来どんなことをしたいですか?

私は化学を専門にしていますが、環境分野に一番関心があって、指導教官の下で生活排水や工業排水の浄化についての研究を進めたいと思っています。

7年の専門教育が終わったら、タイに戻って政府の研究機関やサイエンスハイスクールで教育に携わり、タイのエンジニアリングの進展、環境問題の改善の仕事をしたいと思っています。私たちの留学プログラムは留学費用を公的に負担してもらうかわりに、10年間そうした公的な仕事に従事することを約束しています。

 

*新型コロナ感染拡大について

私のこれまでの4年の留学生活で、その半分の2年がコロナの時代になってしまいました。最初は本当にどうなるのだろう、感染だけではなく、この留学のことまで心配になりました。この2年でコロナ禍での生活スタイルも慣れてきましたが、留学生として感染予防で慎重にならざるを得ません。自宅から通学している日本人学生が感染したら、自宅で隔離もできますし、寮に入っている学生も家に戻ることができます。しかし私たち留学生が感染したら、自主隔離等の行き場がありません。そこで学校も先生方も私たちも生活のルールを厳格化して、県外への移動や外泊等を制限して感染予防に努めています。

感染が世界的に拡大した2020年の春、私やタイ出身学生数名は春休みにタイに帰省していました。その頃日本でも感染が広がり始め、非常事態宣言によって海外からの入国が制限され、私は茨城高専での新年度を日本で迎えることができなくなってしまいました。学校では急きょ、オンラインでリモート授業をしてくれました。それから半年後の秋に、日本への入国制限が少し緩和され、やっと日本に戻ることができました。リモートで授業を受けていても、実験などの実習ができなかったので、学校に戻ってから、その分の遅れを取り戻しました。

 

*日本で暮らして感じたことなど教えてください。

ひたちなか市にある茨城高専での勉強と生活はとても楽しいです。日本人の友だちもたくさんいて、不自由に感じることや困ることはありません。

ただ、日本人はとてもきちんとしていて真面目で、レストランでの接客なども、とても丁寧です。タイでは初対面でも気楽で、友だちのように話したり、とてもフランクなので、日本人の真面目な対応には最初ちょっと驚きました。

それと、南国のタイから日本に来て、最初の冬は本当に寒かったです。ダウンとかたくさん厚着をして寒さを凌ぎました。タイでも冬はあるのですが、気温が摂氏16度くらいで、それでもみんな「寒い、寒い」といって冬物の厚着をするんですよね。日本人からすると信じられないでしょうね。(笑)

ひたちなかは本当に生活も便利で、学校の近くや市街地で食事もできて不自由しないですし、ファッションクルーズもあって、本当に便利です。

 

*好きな場所はありますか?

国営ひたち海浜公園とか、水戸の偕楽園と千波湖はほんとうにきれいですね。国営ひたち海浜公園では、夏のROCK IN JAPAN FESTIVALが有名でしたが、チケットを取ることができず、行けずに終わってしまいました。

あと、ひたちなかに美味しいタイ料理のレストランがあって、駅前で便利な場所なのでタイ人もよく行きます。(お店情報はこの記事の最後にあります)

 

*新型コロナウイルスの収束後、タイを旅行するときのお勧めを教えてください。

タイの海は本当にきれいなので、もしこれから日本の友だちとかがタイに来たらプーケットやPP島などに、案内して一緒に行きたいですね。

観光はタイの重要な産業ですから、コロナで海外からの旅行者がほとんどゼロまで減少したことで、観光業など本当に大変です。コロナのあと、また皆さんがタイに来てくれたら、と思います。

私も、もう2年タイに帰国できていません。タイが恋しいですが、私の家族も私が留学しているのに、まだ日本に来たことがないので、卒業前になると思いますが、日本に来てもらえたらと思います。

 

<ノイさんおススメのタイ料理店>

・ラカントーン ひたちなか市泉町13-3 電話029-276-1717

・カティ ひたちなか市泉町2-1 電話029-271-9575

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