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日本発見記 茨城に暮らす台湾女性 -仲良し三人組-

新型コロナウイルス感染症拡大で海外渡航も難しい日々が続いています。台湾は日本から近く海外旅行では台湾ブームもあり、台湾大好きのリピーターも多いなか、渡航ができないのはとても残念。それでも台湾はコロナ対策の成功や、同性結婚の合法化、東京オリンピックでの活躍など日本で「台湾」がとても強烈に意識されています。この夏は台湾パイナップル(台湾パイン)が日本で大人気。今年上半期は昨年の5,6倍の輸入量となりました。

今回は、水戸と近郊に長年暮らす台湾出身の女性仲良し三人に集まっていただき、台湾について、日本の暮らしについて話してもらいました。

この「日本発見記」のインタビュー当日は、インタビューの前に当協会の「どようサロン」のイベントもあり、そこで台湾の紹介などしてもらっています。そちらはZoomでのイベントでしたが、Youtube配信されていますので、ぜひそちらもご覧ください。

参加いただいた皆さん 
 田川莉紗(たがわりさ)さん 
 岸部文子(きしべふみこ)さん 
 葉美慧(ようみえ)さん


皆さん「茨城台湾総会」のメンバーで田川さんが会長、岸部さんと葉さんは副会長をされています。
田川さんは日本に来て34年。台湾人のご主人が日本に留学することになり、一緒に日本へ。
岸部さんは三人のなかでも日本での生活が最も長い40年。留学して東京の大学で華僑二世だったご主人と出会って、10年後にご主人の実家のある水戸へ。
葉さんは台湾で結婚してから来日して27年。来日した時から東海村にお住まい。

 

司会: 皆さんにとって日本はどうですか、もともと身近な国だった?日本語の勉強は?

(田川) 日本に来てから日本語学校に通いました。

(葉) 子どもを産んでから、子どもと一緒に日本語を習っている感じでした。

(田川) 私たちが学生のころ、台湾では学校で英語が必修科目で、留学はやっぱり欧米が主流でした。それに戦後、台湾では日本文化の流入は制限されていて、テレビとか音楽とか入ってこないので、日本文化に接することはほとんどなかった。ただ、親の世代は日本統治の時代に育ってきたので、やっぱり海外留学なら日本に行かせたいという気持ちがありました。

*以下のインタビューで、三人が一緒に、コメントが重なっているトピックスのときは皆さんのコメントを(Aとして)まとめています。

男女格差、台湾と日本での女性の地位、立場の違い

司会: 日本人の男性はどうですか、どういうイメージ?

(田川) やっぱり受けた教育の影響があると思います。私たちが30数年前に台湾で受けた教育では、男女平等、西欧的なレディーファーストの習慣がありました。それが日本に来たら、当時の日本はまだ男尊女卑だった。夫が大学院生の時、研究室で朝のお茶出しもゴミを片付けるのも同期の女性。夫がそれを手伝おうとしたら、同期の男性に怒られたそうです。

(葉) 台湾は女性が強いですね。

(田川) 台湾では電車や車、エレベーターに乗るのも絶対に女性が先。腰かけるときも。でも父母の時代はちがった。

(岸部) 台湾は女性が強いです。今は総統も女性(蔡英文総統)、市長も女性(台湾で二番目に大きい高雄市の市長も女性だった)。夫は知り合ったときは大学の同級生で、決して威張るようなことはなかった。日本は社会のシステム的には男性優位だけど、個人個人はそういうことはないかな。

(田川) (外では威張っているけど)家に帰ればネコに変身。(笑)

司会: 台湾は女性の立場も強いけど、女性が仕事しているのもすごいですよね。

A: 能力も十分にあるし、経済力もあり、夫より給与が多いことも普通にある。日本だと夫より妻のほうが給料が多いことは、なかなか考えられない。夫からしたら、それが恥ずかしいとか。台湾には、もうそれがない。逆に、「うちは妻のほうが給料がいいんだ」と自慢するかも。奥さんがフライトアテンダントで給料が高いとか。

(葉) 私もフライトアテンダントでした、待遇はそんなよくなかったけど。

A: やっぱり、こうした男女関係の考え方が(日本と台湾では)違うところですね。

台湾と日本、その生活習慣や文化の違い

司会: 皆さんもう日本での暮らしが長いですけど、日本に来た当初、「えっ、これは台湾と全然違う」とか、びっくりしたとか、逆に「日本のこういうところいいなぁ」など、感じたことはありますか?

A: あんまりびっくりすることはなかったと思う。台湾人は、海外との考え方や生活習慣の違いは、そういうものだと理解している。

(田川) 国よりも、地域によって考え方などがだいぶ変わるものでしょう。私は最初、東京に住んでいて、東京は台北と似ている。次は笠間。笠間の人たちの考え方は、ちょっと違う。そして水戸に来たら、またそれはそれで違う。それが生活面で社会に入りづらいとか、不便なところもありました。それと社会の「いじめ」。自分自身にはなかったけど、会社や学校の先輩後輩などの間で、いじめがあることが、私は個人的には考えられない。

A: 私たちは台湾だと、先輩というのは後輩の面倒を見てくれるもの……だから先輩がいるということは、いいことだと思っていました。でも、日本では、そこに「先輩がいる」と面倒だから避ける。近寄れない。上下関係に対して違和感がありました。私たちも様々な会合などのお手伝いで、台湾から「お偉いさん」が来るとサポートしたりするけど、どんな偉い人が来ても一緒に座って、友だちみたいにおしゃべりができる。でも日本人だと、立場とかあってなかなかそうできないでしょう。

司会 日本は学生のころから先輩後輩の関係があり、年齢差とか厳しいかもしれないですね。

A:台湾では、年上は年下の面倒を見るのは当たり前、という感覚。年上を尊敬するけれど、年上の人が年下に対して威張ったり、その逆で年下が年上にへつらうという感じは持っていない。個人主義の考えもあるけれど、たった3日前、たった1年前に生まれただけで、なんで偉いの?と思ってしまうんですよ

A: 一方で、日本にも良いところがたくさんあります。子どもが幼稚園のときから、きちんとしつけて、社会生活のルールを教える。これは素晴らしい。台湾は、今はちょっと違うみたいだけど、私たちが小さいころは、そういう社会のルールを教えるようなことはなかった。挨拶やお箸の使い方は、家庭でのしつけ。日本みたいに集団行動のしつけがない。学校は勉強するところでした。今は(集団生活のルールなど教えたり)変わってきています。

A: 学校の給食文化も違いますね。台湾だと、お昼は外に出てご飯を食べて学校に戻ってくるとか。小学校でもお昼の時間になると、校門の前に屋台が来るし。自宅が学校から近いなら、家に帰って食べてもいいし、体調がちょっと悪かったら母親がお昼にお粥を持ってきたり。お弁当や、マクドナルドも学校にデリバリーがあったり。母親が家からマクドナルドに電話して、ハンバーガーが学校に届いたり。学校の玄関にお弁当のデリバリーを置く棚があるんですよ。

A: これは、台湾には冷たいご飯を食べる習慣がなかったからです。みんな、温かいものを食べるんです。中学生、高校生になるとアルミの弁当箱でお昼を持ってきて、朝、日直がみんなのお弁当を温める専用のケースに入れ、お弁当をスチームで温める。日直がお昼になると、それを取りに行ってくるんです。やはりご飯がいたむ、悪くなるという心配があるから、火を通してしか食べないんですね。

A: 日本だとお弁当が冷たいでしょう。日本に来て、冷たいご飯には慣れなかった。。それに冷たいウーロン茶を初めて飲みました。(笑) 台湾で冷たいお茶なんて飲んだことなかった。それが今では台湾でもコンビニで冷たいウーロン茶のペットボトルが売られている。これはずいぶんと変わりました。以前は台湾で冷たいペットボトルのお茶を買おうとすると「無糖」をさがすのに苦労しました。全部、砂糖が入っていて、お茶は絶対に甘い。逆に台湾から友だちが子ども連れて来てディズニーランドに行ったら、飲み物を買うのに「どれも無糖ばっかり、どれが砂糖入ってる?」と探すのが大変でした。台湾との交流活動で、通訳のお手伝いをしたときです。日本の学校がペットボトルのお茶を用意すると、台湾の子どもたちの大半は、それを飲んで砂糖が入ってないから「まずいっ!」って顔をしかめる。台湾では「ペットボトル=甘い」ってイメージがある。なんで砂糖が入っているお茶と無糖のお茶で値段が一緒?とさえ思っている。今は健康志向で、紅茶でもウーロン茶でも、無糖が普通にあるようになりました。肥満児も多いんですけどね。(笑)

司会 コンビニといえば、台湾でコンビニに入ると店員が笑顔で挨拶もしっかりするし、お釣りを返すときにお札はちゃんと両手で持って手渡しますね。あれはすごい。

A: 昔、コンビニはなかった当時も、市場のおばちゃんとか丁寧といえば丁寧だった。さすがに両手でお札を渡さなくても、ちゃんと「謝謝(ありがとう)」と言って、お釣りを落とさないように手を添えたり。それでも、コンビニ店員の若い子たちがとても丁寧なのは教育だと思う。サービス業の接待のレベルがとても向上してると思います。昔はもっと荒っぽかった。このサービス向上は、日系のデパートとかコンビニの影響だと思っています。

(田川) 私が来日して本当に良かったと思っていることは、子どもの教育。そして自分の生活のプランを立てて暮らせることでした。日本と台湾の生活習慣を混ぜて、悪い習慣は改善しつつ、それぞれいいところを取り入れることができたと思います。

台湾と日本の教育について

司会 台湾の教育はいかがですか? 台湾でも進学熱が高くて、詰めこみ教育のイメージがあります。台北の駅前の予備校、学習塾の多さ、すごい数の学生が放課後集まってくる光景を見たことがあります。

A: 進学校になると、そうですね。勉強する子と勉強しない子の格差。親の、子どもに勉強してほしいという気持ちは一緒なんですけれど。日本も進学は厳しいですが、台湾の進学事情も大変なものがあります。以前の台湾の受験システムは以前はチャンスは年に一回のみ。国立も私立もセンター試験が一度きり。進学志望先をリストにして、学校、学部だけではなく、学科まで決めなければなりません。日本では試験がセンター試験と二次試験、私立は別の試験など、何度も受験しないといけないですね。その意味では、複雑ではなくて一回の試験で済むのは楽かもしれないですね。(笑) 

司会 日本の場合、大学入試で、高校からの調査書提出はありますけど、実際の試験の点数に比べて、高校の成績はそれほど重視されないし、いくつかの大学何に何回か受験の機会はありますけど、台湾のように高校の成績重視で一発の試験となったら、そりゃ勉強しますね。

A: でも、大切な試験の日に風邪をひいたり、体調が悪かったり、それでその日の試験がダメだったら、もうその年はもうチャンスがない。浪人して1年待たないといけない。厳しいですね。

それと男子は兵役があります。兵役の期間は2~3年、今は短くなり4か月ですが、軍務に従事することになります。高校を卒業して、大学入試で2回(2年)失敗すると、軍隊に入らないといけません。そのため、学業を続けたいなら、まず専門学校に入って学生の身分を取得して、兵役免除を受け、次の年に大学入試に再チャレンジする人もいます。以前は兵役となると、いつ戦争になるかわからないリスクや、実弾演習もあって命を落とすこともありました。本当に心配で、神仏に願掛けをしたりするしかなかった。軍隊も閉鎖的で、いつ死んでもおかしくないし、内部でシゴキがあったり事故があっても真相もわからなかったり。

(田川) 私の兄は憲兵になったので、審査も体格、運動能力、容姿など厳しくて、訓練もかなり大変でした。身内が骨壺に入って帰ってくることもあった。それが今はだいぶ変わりました。軍隊の説明会に、親も参加することがあります。説明会では、指導官が懇切丁寧に説明してくれるのです。仕事内容も政府や議会の警備員や警察・消防など多岐に渡ります。そのため、自分の専門知識や会計や調理といった技能、会計、調理などを活かすこともできます。昔のように「腕立てふせ100回」というイメージではありません。とはいえ、男女平等になっても、女性の兵役義務はさすがにないですけどね。

台湾社会の成熟度がすごい、自由主義

司会 本当に今の台湾は表現の自由、男女平等、LGBTや同性結婚などアジアでは突出してランキングでトップクラスになっています。

A: ちょっと個人主義が「いきすぎ」かもしれない (笑) 。 でもいろいろな決定は民主主義で、みんな投票で決まることですから。実際には意見が大きく分かれていることもあります。一番意見が分かれるのは同性結婚でしょう。40歳くらいがボーダーラインですね。40歳以上だと反対が多くて、それ以下だと「別にいいんじゃない」という人が多い。

司会 台湾以外のアジアでは同性結婚の合法化はしばらく無理でしょう。

(葉) 私も、もともとは反対だったけど、もうこういう流れは仕方ないでしょう、と思うようになった。子どもが二人、台湾で大学に行っていますが、年齢的にもうそろそろ、そういうことに心の準備をしなければいけない。子どもが「結婚する相手ができました」とパートナーを連れてくるとしたら「相手は男の人、女の人?」って心配しなければならない (笑) 。

A: もう、仕方がないか。日本は、まだそういう心配は少ないでしょう?

(岸部) ウチで実際にあったことなんですが、台湾の甥っ子がSNSで自分は「男子が好き」って書いちゃったんです。ちょっとショックでしたけど、ほんと「時代だなぁ」って思ったのは、おじいちゃん、おばあちゃんが昔なら多分すごく激怒したでしょうけど、孫のそれを「しょうがないんじゃないの」って受け入れるんです、二人とも。

A: だって(自分が反対でも)法律で守られてるから。

司会 台湾では、確かに昔からみんな率直で温かいし、社会が開放的で、そういう土壌があるから、こういう自由とか個人主義が育まれているんでしょうね。でも20年前とか、こんなになるなんて思ってなかったんじゃないでしょうか?

A: ほんと、ありえないですね。考えもしなかった。昔は、日本が自由で、台湾はいろいろと拘束もありました。それが今では、日本より自由です。

司会 それから、選挙になると、夫婦で夫は国民党で、妻は民進党とか。家の中が内戦のようになると聞きましたが……。

A: ありますね、でも選挙が終わると、もう何もなし。

(葉) ほんとみんな自由。うちの息子は日本で育ったので、台湾で何が一番びっくりしたって、みんな大学で1限目の講義のとき、朝ごはんを持って教室に行って講義中に朝ごはん食べてる、って。信じられないでしょう、日本育ちだと。大学の先生も何も言わない。気にしない。「臭豆腐は食べないでくださいね」って (笑)。「納豆はもってこないでくださいね、臭いから」みたいな。空腹は良くないから食べたほうがいい。朝早い授業でも学生に来てほしいから、来てくれるなら、それでいい、って。大学では(コロナの前から)リモートで授業があり登校する機会が少ないので、学生が来てくれるだけでも嬉しいかも。

A: それでも試験は厳しいし、難しい。本当に勉強していないとパスできない。日本よりずっと難しいと思いますよ。大学の卒業も、日本だと普通にしていれば卒業できるけど、台湾はちゃんと勉強しないと卒業もできない。不定期で突然テストがあったりするから、サボったりもできない。

A: 大学を卒業して就職するときも、台湾の企業は大学での成績を見る。専攻が何で、何を勉強して成績がどうだったか、と。日本だと成績なんて見ないでしょう。どこの大学を卒業したか、しか見ていない。だから台湾の学生は、たくさん勉強しますよ。

台湾の個人主義と面倒見の良さ、大らかさ

司会 先ほどの「どようサロン」のイベントでもおっしゃっていましたが、台湾は個人主義だけど、決して他人に興味がないのではなく、何かしらコミットしますよね、心配だと知らない人でも声かけたり。旅行していて、路上でちょっと地図をみているだけで「どこに行く?わかる?」って、誰かしら心配して声をかけてくれます。

A: 助け合いとか、ほんと世話やきすぎくらい。地図見られないでしょう、お節介だから。自動車で走っていても、信号で隣の車が「エンジンの音がちょっとおかしくないか」とか「テールランプが壊れてる」とか。警察もやさしいですよ、ほんと。観光客が道がわからなくて警察署に行ったら、お弁当まで出してくれたとか。日本だと知らない人に声をかけると、怖がられるんじゃないか、不審者に思われるんじゃないかとか心配してしまう。台湾では普通に声をかける。とにかく他人のことでも気になる。道を教えるだけじゃなくて、連れてってくれる (笑) 。 最低でもバス停までは送りますね。

(田川) 台南の田舎に旅行したとき、夜遅くなって、そこは公共交通もないしタクシーも電話しないと来ない。そうしたらオジサンが「何してるの?どうしたの?」って。タクシーって言ったら「こんなところ、タクシーなんて来ない、乗せてくよ」ってバイクで。ヘルメットもないし、でもどうせ誰も見てないから、って。

病院も賑やか、点滴のまま外に出る人たち

司会 話は違いますが、可笑しかったのは、台北で旅行していて目にしたのが「点滴」です、病院でする、あの点滴。タクシーに乗っていて信号で停車したら、隣に来たバイクが二人乗りしてて……運転しているオジサンと後ろにオバサンが乗っているんですけど、そのオバサンが点滴の支柱持っていて、それに点滴の瓶が吊ってあるのですね。管の先はバイク運転しているオジサンの手首に刺してある。オジサン、点滴したままバイク運転しているんですよ。

A: えー、うそーっ、信じられない。でも「ある、ある」ですね、台湾だと。これはダメでしょう。でも、あるね、きっと。ちょっと用事があって病院から出かけたのかしら、家に帰ってすぐ戻るとか。台湾は、具合が悪いと、すぐ点滴しますね。病院の中を点滴しながら歩いていたり、病院の前のコンビニで買い物してたりとか。病気になると……というか、ちょっと疲れたり、身体がだるいと「ちょっと、点滴行ってくるわ」みたいな。日本ではよっぽど体調が悪くないと点滴は打たないですからね。台湾では発熱を抑えるために、すぐ点滴、点滴がいちばん効果が早いから、って。

 

A: それと、病院といえば、台湾の病院はグルメです。フードコーナーに食べ物、料理がいっぱいあってフードコートみたいなんです。経営に成功してる大きな病院のフードコーナーは、いつも混んでいますよ。鼎泰豊(ディンタイフォン、有名な台湾料理店)の出店もありますし。その病院で点滴している人が歩いていたり、外の人も病院のフードコーナーが美味しいから、って食事に行くんですよね。これは、病院のシステムの違いもあるんです。日本では病院の食事は美味しくなかったり、あまり食べたいものではなかったりするかもしれませんが、病院で食事をきちんと管理していますよね。台湾は決まった食事が出るわけではないんです……注文制。家族が食事を買ってきたり、看病する家族や個人で雇った看護者とかもそこで食事をする。病院の周りには、小さい食堂もたくさんあるし屋台もたくさん来る。

A: 台湾では、全民(国民)健保制度が定着して、市民の医療負担は最低限の定額になったのは良いことです。外国人も保険に入ればカバーは一緒です。しかし、患者が病院で支払う額が減ったことで、病院は直接の現金収入が減りました。そういうこともあって、病院はフードコートとか衣料品のショップとかを病院に設けて、そこで一生懸命、商売をしています。

A: 日本の病院がいいのは、入院すると完全看護ですよね。家族の看護は(今はコロナで病院にも立ち入れないですが、それ以前から)あまり歓迎されない、嫌われますよね。面会時間で帰ってください、って。台湾だと入院したら、自分で看護者を雇うか家族または付き添いがいないと入院させてくれないんです。それは、国民健康保険は掛け金が安い上に、基本的な治療は固定額の基本料金を払うだけで、治療費が100%カバーされる。そうすると、病院は政府の健保からの還付が主な収入ですから、医療行為以外のサービスに資金をまわせないのです。医療以外のサービスは、患者の個人負担になり、それがかなりの負担になります。勿論、低所得者など、これでは入院して治療も受けられないですから、医療行為以外の看護や介護などのサービスを提供するボランティア団体もあります。大きな病院だと、そうした看護サービスを提供会社と提携して、各フロアに常時、看護者2人をスタンバイさせて、サービスの必要な患者に対応したりしていますね。

A: だから、台湾の病院は病室がなんだか賑やかなんですよね。人が多い (笑) 。 看護者が患者それぞれにいて、その人たちも喋ってる、見舞客も家族や親せきなど多いし。日本は病室なんてほんとシーンと、静かにしていないといけないでしょう。

宵っぱりでにぎやか、でもお酒はあまり飲まない台湾

司会 にぎやかといえば、街中もそうですよね。水戸なんか夜は真っ暗で、人も歩いていないですが、台湾だと夏は昼間は暑すぎて、夜が涼しいからでしょうけど、人は多いし、お店もやっているし賑やかな夜市があちこちにあって、何か買うわけじゃないけど夜市を、いつも代り映えのしない同じ屋台が並んでいるんだけど、歩いていますよね。家も、日本では真夏はクーラーをつけているから、窓も閉め切ってカーテンもして、誰も住んでいないみたいな感じですが。昔はみんな夏の夜には外に出ていたんですが……。

A: 台湾は今でもほんと24時間、にぎやか。24時間開いているデパートもあったほど。夜も7時や8時だと「まだまだ、これから」で、本当に宵っぱり。夕飯が6時くらいからで早いから、夜食を食べるし。
A: それと台湾人は、日本のようにお酒を飲む習慣もないですね。晩酌をしないんです。最近は昔に比べると本当に飲まなくなっている。お酒を飲むのは、みんなで食事会とか、何かのお祝い事とかのときですね。

(田川) 私の夫は、日本に来てから晩酌をするようになって、それが習慣になりました。台湾から母が来たときのことですが、お酒を飲んでいたら三日目に、母がとても怒りましたよ。「なに、そんなにお酒なんか飲んで」って。私がお酒を飲んだら、本当に怒られました。女性がお酒飲むなんて、母の世代には絶対にダメ、ありえないことでした。

A: 夜市にはあれだけ屋台があって、小食(スナック)を売っていても、お酒はないですね。日本から台湾に旅行に来て、夜市でビール飲みたいと言われても、どこを探しても売っていません。今はコンビニがあってお酒を売っているけど、以前は、夜はお酒を売っていませんでした。お酒とタバコは専売制で、売る許可も必要でしたし。

水戸、茨城での生活について

司会 最後に、水戸についてお聞きします。好きなところや、お勧めの場所とか教えてください。

(田川) 私は歴史が好きで、弘道館や偕楽園は何度行っても飽きないですね。

(岸部) 私は大洗の水族館が大好きです。何度も行っている。五浦の天心美術館もきれいですね。
司会 何かこんなことがやりたいとか夢はありますか?

(田川) 台湾のランタン(提灯)まつり、あれは本当にきれいなんですが、あれを千波湖の湖畔でやりたいですね。許可を取ったり、いろいろと大変ですが、様々なデザインのランタンがあるので、それを夜空に上げたいですね。故事に基づいたデザインのランタンなど、すごいですよ(日本だと青森の「ねぶた」みたいなもの)。

A: それと、これからも交流活動を続けたいですね。

司会 日本人の台湾ブームもとても盛り上がっていますよね。
A: そうですね、昔は欧米やリゾートでもハワイなどが人気だったのですが、こんな近くて行きやすく、安全で物価も安い、台湾は親日的だし、旅行先としてはいいですよね。政治的にとか歴史的にといった反目してしまう問題もないですし。週末+1日あれば3時間くらいの飛行時間で行けるんですから。

A: 茨城空港からも台北(桃園)行きが、週3便になるというところでコロナ感染拡大になってしまいました。LCCもあって運賃も安いし、夜中に台北に着いても、地下鉄は終電のあとでも空港にシャワーとかもあって始発まで仮眠したりもできるんですよ。ぜひ台湾にお越しください。

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